「機能回復を目的とした治療時間の確保が課題」

―手指などの機能回復を目的としたリハビリテーションの難しさを教えて下さい。

残存機能の限界の見極めを含めて、患者さんの個人差が大きいことですね。また、社会復帰への意思など、それぞれが重要視していることの重み付けも異なるので、一人ひとりの状況に合わせたリハビリテーションが求められます。そのうえで、費やせる時間に限りがあるため、機能回復を目的とした治療時間の確保が課題となっています。

というのも、現在の医療保険制度では、手指の機能回復よりも、「日常生活動作(ADL)」の回復のほうが優先事項となっています。もちろん、どちらも大事ではありますが、手指の機能回復が置き去りにされてしまうこともまた、リスクではあります。リハ以外の時間で、こうした機能回復をいかに「自主トレ」できるかが大きな課題で、そこには、ロボットや装置の活用が有効と考えます。

―ロボットや装置の導入によって、自主トレ時間を確保できるようになるのでしょうか?

セラピストがつきっきりになる必要があることが、患者さんの自主トレ時間を稼げない要因でもありますが、患者さんのみでリハビリテーションを行った場合、過剰な運動や、本来目的としていない動きを反復してしまう可能性があり、そう簡単な話ではありません。人の動きは、自分の能力範囲内で最適化されてしまう傾向にあるため、楽な動き方になってしまいがちです。間違った運動を続けても、狙った通りの効果は見込めませんし、逆効果にもなりえます。

一方で、機能回復には、継続し、反復することが重要であることは間違いありません。どのように体系化し、運用していくかなどを置いておくとすれば、MELTINの「手指用ロボットニューロリハビリテーション装置」を使うことで、狙った通りのリハビリテーションを安定的に提供できる可能性は高いと思います。

「装着や設定も、簡単なのがいいなと思いました」

―MELTINの「手指用ロボットニューロリハビリテーション装置」を試した感想を教えて下さい。

装着や設定も、簡単なのがいいなと思いました。筋活動を測定するセンサーを貼り付ける場所も、ある程度大まかでいい。こうしたセッティングがシビアすぎると、多くの人が使える装置とはなりません。リハビリテーションの時間は限られているので、装着の簡単さや設定しやすさは重要です。1単位20分間のうち、装着に10分かかり、リハが10分で終わってしまうようでは困ってしまいます。

パーツも軽く、スッキリとした雰囲気で、ものものしくないのもいいですね。海外で開発されているロボットと比べても見栄えは悪くないし、患者さんの手のサイズや指の長さだけでなく、運動や症状に合わせてサイズ調整できるなど、細かい配慮がされていると感じます。患者さんが使う装置としては、安全性も含めたフィッティングはとても大切です。これだけの機能を備えながら、モニターを含めてこのサイズに収めたのも素晴らしいですね。一体型でカート型なので、移動も楽です。

―今後、この装置に期待することはありますか?

さまざまな日常生活場面で手の使用を想定できるように、自動車教習所のドライビングシミュレーターみたいな、VR(バーチャルリアリティ)技術と組み合わせたようなものがあれば、より効果的だったり、継続性が高くなったりするかもしれません。あとは、もし実用化された場合には、価格を抑えてもらいたいですね。そこが最も、普及のネックになりやすいところ。どんなに優れた装置も、普及しないことには始まらないので、ぜひそこをがんばってもらいたいです。